魚突き・素潜りは違法?
「魚突きや素潜りは違法なのか?」
これはよく聞かれる質問ですが、魚突きと素潜りで分けて考える必要があります。
フリーダイビングやスキンダイビングの場合
まず、フリーダイビングやスキンダイビングといった素潜りは違法になる事はほぼないと言って良いでしょう。
条例で禁止されている場所で潜らない限りは素潜りを取り締まる法律はありません。
ただ1点気をつけなければいけないのは、
素潜りで貝や甲殻類等を採集する事は法律に触れる可能性が非常に高い
です。
この後の話にも関わってきますが、貝類などは漁師が稚貝を放流するなどして育てていることがあり、また漁業権の対象となっていることが多いので、そういったエリアで貝類やうになどを勝手に獲ると、「密猟」に当たります。
この10年ほどで密猟は全国で非常に増えており、漁師もかなり警戒をしています。
貝類やウニ、甲殻類については基本的に触れないことが無難です。
魚突きの場合
魚突きが違法かどうかは漁業調整規則と言う全国的な規則と都道府県や市町村などの自治体の条例によります。
後に話す通り、漁業調整規則は県ごとに決まっており、一覧表を確認することでその県で魚突きができるかどうかが分かります。
ただ市町村レベルの条例で規制がかかっている場合もあるので、都道府県や市町村の遊漁を管理する課に電話で問い合わせるのが一番早いです。
あとは、謎のローカルルールが存在することもあるので、潜りたい場所で潜ったことある人に効くのも一手です。
ただ、漁師や周辺住民とちゃんとコミュニケーションをとる、人の迷惑になることをしない、など当然のことを守っていれば問題になることはほとんどありません。
詳しくは後述します。
魚突きは漁師の許可は必要か
これもよく聞かれるポイントだったりしますが、
法律的には魚突きをするのに漁師の許可は必要ありません。
ですが、時と場合による、というのが正直なところです。
例えば、潜りたいポイントの近くに漁師がよくいたり、漁港の堤防で潜りたい、などなど、漁師の目につくところで潜る場合は一声かけておくと安心でしょう。
漁師は「密猟」を警戒します。
コミュニケーションを取って、魚を突くだけで貝などは獲らないと伝えましょう。
また、魚がたくさんとれたら漁師や近隣住民に分けてあげると、その後も快く潜らせてくれたりします。
一方で、人目につかないところであれば必ずしも漁師に声をかける必要はありません。
ただ、銛は極力陸上で露出しない、着替え等はクイックにするなど、あまり目立たないようにすることが大事でしょう。
魚突きの基本マナー・法律を知る
「突く」というスキルには直接関係ありませんが、
魚突きという遊びを楽しむために、僕の経験から言えることをお伝えします。
残念ながら、魚突きは釣りに比べて風当たりの強い遊びです。
主に漁師は魚突きを警戒する人が多いです。
近年、全国的に素潜りによる密猟が横行し、漁師が漁業権を持っている貝やイセエビ、ウニなどが不法に獲られています。
銛で魚を突くこと自体は、多くの自治体で認められていますし、漁師も魚突きにめぐじらを立てる人は少ないです。
しかし、ウェットスーツを着て潜っていたら漁師からすると
「単に魚突きをしているだけなのか密猟をしているのかわからない」
のです。
そのせいで、とにかく潜る事自体だめだー!というマインドになってしまう漁師も一定数存在します。
だからといってコソコソする必要はありません。以下のマナーを守って、魚を突く土地やそこに住む人を尊重して遊びましょう。
1. 食べない魚は突かない
当然のことですが、魚は重要な地球の資源です。
「どうせ魚が食べる」と無駄な殺生をする人がたまにいますが、絶対にしてほしくないです。
確かに死骸はそのうち他の魚が食べますが、「その魚が生きていることで成り立っている生態系」があることを忘れないでください。
海は僕らが思っているよりもずっと繊細で絶妙なバランスで成り立っているのです。
2. 銛先を人に向けない
これも頭の中ではすぐにわかることですが、魚突きに夢中になっているうちに、気がついたら銛先が人に向いていることがあります。
銛はとても殺傷能力の高いものです。
僕はアメリカにいた頃の友人の話ですが、彼が誤って銛をバディに向かって放ってしまって、バディの頭に銛が刺さって病院送りになったことがありました。
刺さりどころが悪かったら大きな後遺症が残ったり、死亡する可能性もあったでしょう。
手に握っている銛で最高の体験を生み出すのも、人を傷つけてしまうのも全て自分次第だと心得てください。
3. 銛は隠す
銛は海に入る直前までカバーなどに入れて運びましょう。
銛突きを知らない人からすると、生身で銛を持って歩いている人は普通に怖いです。通報されます。
4. 貝類は絶対にとらない
サザエやアワビなどの貝類・イセエビ・タコ・ウニなど、磯にひっついているものは基本的には漁業権が発生していて、地元漁師にしか取る権利はありません。
漁師たちはこれら貝類の子ども(稚貝)を放流したり、禁漁期間を定めるなどして、資源量を調整しているのです。
これらの貝類を取るのは絶対にやめましょう!
5. 漁師とは仲良く
漁師にとやかく言われたくないから、と漁師を避ける突き師もいますが、相手も人間です。
すれ違ったらちゃんと挨拶をしたり、
嫌そうな顔してたら「今から潜るんですけど魚しか獲らないです。いいですか?」と声をかけたり、
良い魚が取れたらおすそ分けするなど、
人として真っ当なコミュニケーションを取りましょう。
僕の住んでいる地域では、イシダイをあげると喜んでくれる漁師がけっこういます。(漁ではあまりとれないから)
6. 釣り人には近づかない
釣り人は潜り師が釣り場近くに来るのを嫌がります。魚が逃げるからです。
向こうは限られた場所でしか釣れません。ぼくらは泳いでいけばどこでも魚突きができます。
潜りたいと思っていたポイントに釣り人がいたら、潔く譲ってあげましょう。
7. ゴミは持ち帰ろう
当たり前ですね。海を汚す人間に海で遊ぶ資格はありません。
8. SNSにポイント情報をあげない
これは魚突き師の間では常識になっています。
僕も最初は魚が突けたら嬉しくてシェアしてしまったこともあるのですが、止めたほうがいいと諭されました。
実際そこまで大きな問題はないと思うのですが、魚突きは風当たりが強いので、1つのポイントにたくさん突き師が集まって漁師に目をつけられる、というケースがいくつか発生した例があります。
そのため、突き師の間ではポイントは公開しないことが良しとされています。
せっかくあなたが見つけた突き場なので、こっそり自分や仲間だけのものにしておきましょう。
9. 魚突きに関する法律を知る
最後に、魚突きの法律ってどうなってるの?というお話ですが、一応「漁業調整規則」というものが存在していて、それがルールになっています。
が、かなり複雑に書かれていて、読めば読むほど自分の都道府県で銛突きをしてよいのか判断がつきません。
よくわからない場合は、県の水産課に電話して聞いてみましょう。
その際、「酸素ボンベは使わないこと」「水中銃は使わないこと」「手銛を使うこと」をしっかり伝えましょう。
とりあえず、水産庁が公開しているPDF(ここから見れます)の、「やす」という欄が✗になっている県は基本的に銛突き禁止です。
この表をみて、「やす」の項目がどうなっているかを見てみてください。
(随時更新されるので、魚突きに行く前に最新情報を確認しましょう)
ここまでは国のルールのお話。ここからはややこしやややこしや、ローカルルールのお話です。
ややこしいローカルルール
さて、漁業調整規則だけ守っていればそれでいいのかというと、そうでもありません。
各地域によって、ローカルルールが存在します。
例えば、関東圏だと東京都(=伊豆諸島)以外は基本的にできないものと思ってください。
特に静岡県の伊豆半島は要注意です。ここは密猟のメッカで、漁師がいつも目を光らせているので、ウェット着てるだけで通報されます。
東京都伊豆諸島でも、トラブルが原因になって最近伊豆大島での魚突きが禁止になったそうです。
僕らが拠点としている長崎県は「やす」欄が○になっていますが、地域によっては漁師一丸となって魚突きを追い出している地域もあるらしいです。
訳が分かりませんね。
法律では認められているので、漁師に禁止する権利はないのですが、日本の漁業は法律という概念が生まれる前から存在しているため、漁が盛んな場所ほど、昔からのローカルルールが残っています。
では、どうすればよいのか?
もうこれはシンプルに、その土地の人に聞くのが良いです。
僕は初めて行く土地で突く場合は、Twitterなどでその土地の突き師を探して、DMでそこのローカルルールを聞くようにしています。
OKそうだったら、潜りますし、危なそうだったらやめます。
もしOKそうな場所で漁師に怒られたら、「すんませーん!帰りまーす!」大人しく撤退しましょう。
漁業調整規則の話を持ち出して反論するのはオススメしません。
相手が規則の詳細を知っていることは少ないですし、そもそも感情的になっている場合は議論の余地がありません。
少し脅かしてしまったかもしれませんが、事前に少し調査をして、周りとコミュニケーションしていれば怖いことはありません。
漁師に怒られたとしてもとって食われるわけではないので、撤退すればよいだけです。
魚突きのルールとマナー
1. 食べない魚は突かない
2. 銛先を人に向けない
3. 銛は隠す
4. 貝類は絶対にとらない
5. 漁師とは仲良く
6. 釣り人には近づかない
7. ゴミは持ち帰ろう
8. SNSにポイント情報をあげない
9. 魚突きに関する法律を知る・ローカルルールを知る
全ての魚突き師におくる、息止め+魚突き完全攻略note公開中
フリーダイビング日本代表であり日本歴代三位、去年フランスのニースで行われた世界大会では世界13位、72m潜るじょうまと、
その弟子で最近大物を突いているおおさきが、
素潜り道場note版セットをガチで執筆しました。
「もっと息を長くしたい」
「魚突きを始めたい」
「大物を突きたい」
「素潜り道場に直接参加したいけどできない」
といった方にピッタリのnoteです。
「【これさえやれば釣れる!】年間100日釣りに出る釣り兄貴が教える初心者向け完全釣りマニュアル」リリースしました
わっしょいの爆釣漢、またの名をみんなの釣り兄貴リーが、
釣り初心者向けに「まずはこれをやれ!」をシンプルにまとめたnoteを書いてくれました。
「どんな釣具(タックル)を揃えればいいのかわからない」
「小魚は釣れるけどもっと高級魚や大物も釣れるようになりたい」
「釣れるルアーの動かし方がわからない」
「トラブルなく釣りを楽しみたい」
「大きな魚をかけたあとどうしたらいいかわからない」
といった方にピッタリのnoteです。
コラボTシャツ
僕らの無人島ステイホームや瀬戸内海カヌー横断に共感してくださったEuglena Landさんに、お魚わっしょいTシャツを作っていただきました!
1枚1枚手刷りで作っているため、元々は期間限定、特別価格で販売していましたが、大人気につき
現在はレギュラーセレクションの仲間入りをしています。
冒険アイテム公開中!
僕らの遊びはかなり過酷です。 離島キャンプでは台風並みの突風に見舞われテントが吹っ飛びましたし、
魚突きでは水深20mで80cmを超える大物を狙います。
そんな僕らの活動を、今も現役で支えてくれている冒険アイテムを一覧でご紹介します。
本格的なアウトドアに興味のある方は是非参考にしてみてください。