魚突き・素潜りは生身の自然とダイレクトに触れ合える、本当に楽しい遊びです。
しかし、誰も手を付けていない自然の中だからこそ、危険がいっぱいあるのも事実です。
僕は一度海で友人を失くしかけています。その時はベテランの突き師と一緒にいて、彼が救助にあたってくれたため、ギリギリのところで助かりましたが、もし彼が1人だったら命を落としていたと思います。
全てのアクシデントに共通しますが、「自分は大丈夫だろう」という気持ちが事故を引き寄せます。
特に、丸腰で自然の中に入る魚突きや素潜りは、何十にもセーフティーネットが張り巡らされた人間社会とは真反対のものです。
僕らの経験やベテラン突き師、ダイバーの話を基に、魚突き・素潜りの安全対策をまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
魚突き・素潜りの安全対策
1. 根に潜った魚に固執しない
入門編の魚ではあまり起きませんが、魚が岩の下に潜ったり、銛が岩に引っかかっても、固執しずぎないようにしましょう。
水深5m程度であれば、水面からでも視認できるでしょうし、焦ることはありません。
一度浮上して、落ち着いてから取りに行きましょう。
2. 素早い動きをしない
海中で無駄な動きをすると、酸素が余分に消費されます。その分、普段よりも息止めの限界が早くなり、結果ブラックアウトに一歩近づきます。
(ブラックアウトについてはこちらの記事をご覧ください)
海中ではゆっくり動作することは、魚を突くためにも、安全のためにも大事なのです。
3. バディを組む
最も確実な防止策は、バディを組み、片方が潜り、もう片方が水面でバディを見守る、というやり方です。
万が一ブラックアウトしても、バディが相方を引き上げて応急処置をしてあげることができますし、流されているなど、周囲の異変にも気づきやすきなります。
バディシステムよりも確実な安全策はありません。
自分の限界が正確に把握できるようになるまで(非常に長い道のり。かなりの訓練と観察が必要)は、必ずバディを組んで海に出るようにしましょう。
☑ 近くにいればいいだろうと思ったら、海ではびっくりするほど近くにいても見えないことがあります。特に、バディが潜る前に水面にペターっと浮いている時や、潜っている最中などです。こまめにバディの位置をチェックしましょう。
☑ はぐれた場合のルール(何時に上がる、はぐれて何分以上たったらここに集合)を決めておく。
☑ そのために、防水時計は必須。
☑ 海は静かに流れていることも多く、行きが楽々だったけど、帰りが進まない、途中で流れが変わって、進まなくなることがあります。慣れるまでは湾外にでないこと、出たとしても、すぐに岸に上がれるように岸沿いを泳ぎましょう。
☑ 日没まで余裕のあるタイムスケジュールを組みましょう。暗くなったら本当にどこにいるのかわからくなります。
☑ 船の音がきこえたら位置確認、航路にいたら避ける。フロートで位置アピール
☑ 震えるほど寒い場合は即上がりましょう。(低体温、判断力低下)
☑ 真夏に長時間潜ると脱水症状になります。こまめに水分補給をしましょう。フロートにペットボトルぶら下げている人多いです。
☑ バディが見つからない、怪我をしたなど、最悪の場合は108海保へ通報しましょう。
4. 安全なポイントを人に聞く
どこで潜るか?これはとても大切なことですが、
その前に、始めたばかりの方に守ってほしいことがあります。
それは、
流れの速い場所で潜らないこと
です。
僕も実際に体感するまでよく分かってませんでしたが、潮は強力です。
人1人なんて簡単に沖へ押し流してしまいます。
僕とじょうまは一度、欲張って岬の先端付近に行った時、急激な潮流に押され、沖へ流されかけたことがあります。
その時は、両足つりながらも死ぬ気で泳いでなんとか助かりましたが、流されていることに気づくのがあと1分遅かったら手遅れだったと思います。
最初は無理せずに穏やかな海と天気を選びましょう。
また、万一流されても慌てないように、事前にバックアッププラン(右に流れたら右にエキジットする場所を目星付けておく、左の場合も同様)を用意しておくと、慌てずにすみます。
ポイントは先輩に聞こう
潜りの先輩がいるならその人と一緒に行きましょう。潜ったことのある人がいれば、まずはその人に連れて行ってもらうのが良いと思います。
どうしても1人で行かなければ行けない場合は、湾内で潜るか、地元の漁師などに聞いて、流れがなく穏やかな海を探して潜ってください。
海は素晴らしいものですが、ナメてかかると痛い思いをします。準備しすぎくらいがちょうどよいです。
5. 気象予報はWindy
最後に、気象です。海の天気は圧倒的に「Windy」がオススメです。
気温・天気・潮の流れ・風・水温など、潜るかどうかを判断するための情報が網羅されています。
特に役に立つのが風の情報です。
風が強いとそれだけ海はうねり、荒れます。
僕は5m以上風が吹く場合は、海が荒れ出すので基本的には潜りに行きません。
Windyはブラウザ版、アプリ版両方あり、無料です。非常に使いやすいです。
Windy:https://www.windy.com/
※注意!離岸流について
離岸流とは、海岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとする時に発生する強い流れのことです。
波は沖から海岸へ打ち寄せますが、海水はどんどん岸に貯まるので、どこかから沖にもどろうとします。
この時、岸から沖の方へ向かって一方的に流れる速い流れのことを離岸流(リップカレント)と呼びます。
離岸流はどこで起こる?
・海岸が外洋に面しているところ
・遠浅で、海岸線が長いところ
・近くに人工構造物があるところ
離岸流はかなり流れが速く、一度捕まると一発では抜け出せませんが、
慌てず対処すればきちんと岸に帰ってくることができます。
離岸流に流されたらどうする?
・慌てず落ち着く(パニックにならない)
・可能であれば、周りの人に流されていることを知らせる
・岸と平行に泳ぐ(岸に向かって泳ぐ)
・泳ぎに自信のない方は、無理に泳ごうとせず浮くことに専念する。
海上保安庁のHPで離岸流が起きやすい場所の特徴や、対処法が詳しく書いてありますので、一度目を通してみてください。
油断大敵。海は常に危険と心得るべし
魚突きに慣れてきたからといって、海をナメてはいけません。
魚突きの事故は、中級〜上級者に多いのです。
以下のポイントを抑えつつ、常に海や周囲の状況に注意を払いましょう。
6. 潮の流れが速い場所は気をつけよう
初級のときは湾内などほとんど潮の流れのないところで潜っていたと思いますが、中級の魚を狙うにはある程度外海に面した海で潜る必要があります。
外海になると当然潮の流れが出てきます。
岬の先っぽや島のはじっこなどは特に潮の流れが強くなります。
オススメは
・ポイントを見つけたら周辺の漁師や船乗りに潮の流れについて聞くこと
・潜っていて少しでも潮の流れが強いと思ったらすぐに離脱すること
が大切です。
流れは局所的なものが大半なので、流れに逆らわずに垂直方向につっきるのが対処法としては得策です。
7. 限界まで潜らない
慣れてくると楽しくなり、もっと深く・もっと長く潜りたいという欲が出てきます。
特に大物を目の前にした時は、アドレナリンが出るのもあって、あとちょっと!と無理してしまいがちです。
ブラックアウト(気絶)してしまうと、すぐ近くに救助者がいない限りはほぼ助かりません。
僕は常に自分の限界の70%、無理しても80%くらいで留めるようにしています。
苦しさを我慢するとと潜り能力自体は伸びますが、水中で1人でやるのは危険すぎるので、
能力を伸ばすのは陸上で、潜りはそのアウトプットの場だと思って、海中では無理をしないでください。
8. 船の通るところは避ける
船に轢かれたら大怪我を負います。
・漁港の入り口など船が頻繁に出入りする場所
・瀬渡しの釣り人がいるところ(瀬渡し船がくる)
・その他漁船などが頻繁に通るところ、
こういったところは事故の確率が高くなりますので、絶対にやめてください。
僕は一度沖の瀬の近くで潜っていた所、大岩の陰から瀬渡し船が勢いよく出てきて、僕のわずか5メートル横を通っていきました。
あの時自分にぶつかっていたかと思うとぞっとします。
9. 漁師の縄張りには入らない
漁師が仕事している側では潜らないでください。
密猟とは思われないまでも、漁師からすると安全面での警戒が高まりますし、
あなたのせいで漁師が漁場に入れなくなることもあります。
こちらは遊び、向こうは仕事ですので、譲ってあげてください。
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