こんにちは。おおさきです。
先日、魚突きのマナーと法律についての記事を発信したところ、「テメーが言うんじゃねぇ!」的なご意見をいくつかいただいたので、ここに至った経緯と、反面教師としてお伝えできることをまとめます。
反論や言い訳ではなく、あくまでも経緯の説明と反省、これからの行動についてのシェアですので、ご了承ください。
ご意見いただいた記事がこちらです。
この記事に対して、2つの反応をもらいました。(両方とも趣旨だけで、一言一句正確に言われたわけではないです)
「こういう発信は少ないから、初心者向けにいいね」
という好意的な反応と、
「テメーが言うんじゃねぇ!」
というお怒りのコメントでした。
前者は良いとして、なぜ後者のような意見が出たのか?
それは一重に、僕らの過去の発信内容が間違っていたからでした。
具体的には
・僕らの初企画、無人島自粛編で、「関係者の許可を得ています」という題目の元、魚突きで水中銃を使用していたこと
・魚突きポイントが分かってしまう、もしくは推察できるようなSNS投稿をしていたこと
の2点です。
僕としては、今までのミスから学んだことをまとめて、かつての僕のように知らない人に向けてルール・マナーを発信したつもりでしたが、
その前提説明ができていなかったため、
今日は、誤った発信に至った経緯と、今回に限らずいただいた指摘の数々から学んだこと、そしてこれからの発信姿勢について、お話したいと思います。
魚突きにおける水中銃の使用は違法??
水中銃は違法?
はい、違法です。
これは漁業調整規則にも明記されており、認められた漁業者以外が水中銃を使って魚突きをすることは違法で、違反すると科料(1,000円以上1万円未満の金銭を強制的に徴収する財産刑)の対象となります。
他にも科料の対象となるものには以下があります。
- 無許可操業(漁業法第57条):3年以下の懲役,又は300万円以下の罰金【例】潜水器(ボンベなど)漁業,かご・たこ壷漁業,まきえ釣漁業
- 禁止漁具・漁法(規則第37条):6月以下の懲役,又は10万円以下の罰金【例】集魚目的で水面を灯りで照らす行為,油づけえさの使用
- 遊漁方法の制限違反(規則第44条):科料【例】船からのまきえ釣,水中銃の使用,ひき縄釣(トローリング)
実際にやっているのを見たことがある、もしくは知らず知らずのうちにやってしまっていた、〇〇地域ではみんな当たり前のようにやっていた、など色んな反応があると思います。
漁業は地域性の強いもので、ローカルルールが多数ありますので、郷に入っては郷に従え的な側面もあります。
ただ、YouTubeやTwitterなどでの世界への発信という意味では、明らかに正しくないですね。
では、なぜ無人島で水中銃を使ったの?
以上のルールをちゃんと認識できていなかったからです。
僕の認識は、「原則として水中銃は使ってはいけない」が、「漁師などの周辺関係者からOKをもらえば大丈夫」という非常に甘いものでした。
無人島のケースは、関係者とコミュニケーションした上だったので大丈夫、という認識でした。
事前にきちんと調べず、また非常に認識が甘かったことは完全なる僕の落ち度です。
ご迷惑をおかけした方々、申し訳ございませんでした。
指摘を受けて、水中銃の使用を中止。
無人島シリーズが終了したあたりで、「水中銃は違法です」との指摘を直接いただき、
漁業調整規則の再読、自治体への問合せを行ったところ、その通りであることがわかり、撮影・撮影外に関わらず水中銃の使用を止めました。
以降、魚突きの際は手銛を使用しており、水中銃は使用していません。
無人島のイメージが強いことから、この記事を書いている2021年2月時点でもまだ水中銃を使っていると思っている方がいらっしゃいますが、
そういった事実はありません。
また、わっしょいが主催する素潜り道場やキャンプイベントにて水中銃や貝採りを推奨している、という声もありますが、していません。
最近Twitter等に投稿した写真の背景に水中銃が写り込んでしまっていたことがありましたが、こちらは私の注意不足でした。
実際は同行した漁師の水中銃でしたが、写真を見た人からすると僕が水中銃を使ってとったものであると思ってしまうのは当然だと思います。
使った、使ってないに関わらず、そもそも写り込んでしまっている時点でアウトだという認識をもって発信も気をつけます。
ポイントを推察できる投稿について
どういう投稿のこと?
地名を言うことや、場所がわかるような背景が映っている写真のある投稿のことです。
釣りなどではどこどこで釣りしてきました!という投稿をよく見かけますが、
魚突き界ではNGとされています。
なんで場所がわかったらいけないの?
僕もなんとなく場所はさらさない方がいいかな、とは思っていたのですが、特定のポイントでなければ問題ないかと思い、
市レベルの地名を含んだ投稿を何度かしていました。
ただ、Twitter等で指摘を受け、背景を含め理解をしました。
魚突きをしない方は、「釣りは良いのになんで突きはだめなの?」と思う方も多いと思います。
僕の理解では、
魚突きが規制されやすい遊びだから
だと思っています。
多くのレジャーが公益財団法人や協会を作って、安全やマナーの発信を行うとともに、遊びがビジネスがしやすいように政治的な働きかけを行っています。
魚突き界にはそういった組織がない(=政治力ゼロ)ため、行政が規制強化を図った時に抵抗のしようがないのです。
そもそも密猟の横行と相まって、魚突きは目をつけられやすい遊びです。
誰かが「この場所いいよ!」と発信して、人が集まってしまうと、中にはマナーの悪い人もいます。
そのマナーの悪い人を漁師や周辺住民が嫌がって、「魚突きは禁止にしよう」との声をあげられてしまうと、非常に分が悪いのです。
特に魚突きへの風当たりが強い場所に住む突き師は、最新の注意を払って魚突きをしています。
そういった人からすると、安易に場所名を出している僕らを見ると「オイオイやめてくれよ!」となるわけです。
指摘を受けて、場所名は出さないことに
このような背景があり、僕らが土地名を投稿などに含めてしまった時に、「やめて!!」というDMをいくつかいただき、
またベテラン突き師の方から上記のような背景をご説明いただきました。
それ以降は、具体的な場所名は出さずに発信するようにしています。
ご指摘いただいた方には、大変感謝しております。
ただ、ご指摘をいただき、背景も含めて理解できたのが2020年の秋〜冬頃で、つい最近まで徹底できておりませんでした。
そもそもなんで背景を知らなかったの?
ここからは、なぜ僕が上記のようなルールやマナー・背景を知らなかったのかについて経緯を説明します。
水中銃については僕のルール認識不足であり、日本で魚突きをする前にしっかり確認していないことが原因です。
この章では、発信の仕方など、明文化されていない日本魚突き界の暗黙の常識について知らなかった背景を説明します。
以降は、「言い訳」に聞こえるかもしれませんが、あくまでも経緯の説明です。正当化ではありません。
日本での魚突き経験の浅さ
僕は2018年までアメリカで仕事をしていました。
魚突きに出会ったのもロサンゼルスに住んでいた頃です。
アメリカでは水中銃の利用が認められており、ポイントについても日本ほど隠す文化はありませんでした。
LAではライセンスを購入すればイセエビも獲ることができました。
その代わり、獲って良い魚種やエリア、魚種ごとのサイズ規定が事細かに決まっており、違反すると100ドル〜数千ドルの罰金がありました。
スキューバでイセエビを20以上乱獲(スキューバは禁止で、イセエビは1日7尾まで)した人は、道具を全部没収された上に、3000ドルの罰金を科されていました。
2019年に日本に戻ってからは魚突きをする機会がほとんどなく、魚突きをする人もほとんど周りにいませんでした。
それが、2020年に無人島で魚突きしたのをYouTube・Twitterで発信したところ急にバズってしまいました。
その後、魚突き仲間が増えたわけでもなく、DM等で指摘されることもなかったため、マナーについてはちゃんと認識できていませんでした。
他の突き師との関わりのおかげで認識できた
発信のマナーがちゃんと理解できたのは、2020年秋〜末にかけてです。
ヨットで九州某所に行った時にうっかり島の名前を出してしまい、DMで突き師の方にご指摘をいただきました。
また、末にある島でイベントを開催したときに、地元の突き師の方やベテラン突き師の方と話す機会があり、魚突きのマナーやその理由を丁寧に説明いただきました。
この時が、日本で魚突きをやるにあたり多くの方が守られているマナーを初めてちゃんと認識した瞬間でした。
その他にも、DMや対面で丁寧に説明していただいた方には大変感謝しております。
反面教師として見習ってもらいたいこと。
今後、YouTubeの魚突きシーンの削除やぼかし入れをし、自分たちのマナー向上に努めます。
間違ったことをしてしまったことは事実ですが、だからといって情報発信をしないというのも違うと思っています。
人に教えてもらわないと分からないようなルールやマナーもありますので、同じような人が出ないよう、ある程度発信力のある身として引き続き情報発信もしていきます。
本記事や「魚突きのルールやマナー9つ」の記事も各所でシェアしていきます。
今回のことで、僕を反面教師として以下のことを知ってもらえたら嬉しいです。
- 公式に許可を得た漁業者以外の水中銃の使用は全面的に違法
- 漁業権のある場所で貝類・甲殻類などをとるのも違法です。(これに関しては僕はやっていませんが念の為)
- 魚突きポイントが分かってしまう発信の仕方は慎むが吉
それでは!
最後に:僕がわっしょいを続ける理由
お魚わっしょいを始めて1年、最初は遊びでやっていたものが、今では明確な目標に変わってきました。
それは、海を愛する仲間を増やしたい、ということ。
それイコール、海で遊ぶのに必要な知識・スキル・体力を持った仲間を増やしたいということでもあります。
背景はこんな感じです。
無人島編が終わったあたりから、沢山の方から素潜りの課題や不安、安全管理や上達のコツについて直接質問をいただくようになりました。
色々な方とお話するうちに、僕がアメリカで魚突きに出会った時も、日本で魚突きをはじめる時も、情報がなくて困ったことを思い出しました。
どうしたら素潜りが上達するのか、
何をしたら安全で、何が危険なのか、
基本的なマナーはどうなっているのか、
なんで息止めがのびないのか、
などなど。
情報がないなら、僕らで発信しよう。
今回の件も含めて色んな失敗をしてきたからこそ語れることもいっぱいある。
だから、息止めや素潜りに関する基本スキルや生理学に基づいた体の仕組み、安全管理などををnote・公式サイトで発信し、
素潜り道場を開催して素潜り始めたい、上手くなりたいという方に向けてトレーニング会を開催し始めました。
こうしたことを4ヶ月くらいつづけてきましたが、
ありがとうと言ってくれる人、もっとこうして欲しいという人、手伝うよと手を差し伸べてくれるベテランの方、色んな方との関わりが生まれました。
今後も、ブログやイベントを通じての情報提供・共有の機会を作っていきます。
もし私でよければ協力するよ、という方がいらっしゃれば是非お声がけください。
今回の件で襟を正して、良いコミュニティを作れるように精進していきます。